美浦村の債務問題について考える

美浦村の債務問題について過去のデータを振り返ってみた。データは美浦村が発行している「広報みほ」に掲載されている「むらの家計簿」である。1980(昭和55)年から2015(平成27)年までの35年間のデータを振り返ってみた。(棒グラフは人口の推移、折れ線グラフは、凡例の通り、それぞれの税収項目の系列を表している。特に上位の黄色い折れ線は、全会計の地方債累積債務合計、その次の赤い折れ線グラフは一般会計だけの地方債累積債務を表している。)

まず、累積債務であるが、特別会計・企業会計を含むデータは2003(平成15)年以降からしかわからないので、確定的なことは言えないが、一般会計の累積債務のデータからおおよその動きは類推できる。

一般会計の累積債務のデータをみると、データを収集できた1980(昭和55)から1987(昭和62)年までは毎年10億円前後で横ばいで推移している。特に極端な増減はない。それが、1988(昭和63)年に12億円弱に増加し、1991(平成3)年に26億円と一気に2倍以上に膨れ上がり、1992(平成4)年に31億4千5百万円と一旦ピークを迎える。5年間で3倍以上に膨れ上がったことになる。

この時期はちょうど日本が平成景気(バブル経済)を迎えた時期と一致している。そして2000(平成12)年の11億円の谷を迎えるまで、一貫して下降傾向を示していたものが、翌年2001(平成13)年にいきなり29億円になってからは、常に増加し続け、2014(平成26)年には、とうとう税収57億円を6億5千万円も上回る63億4千万円となり、対税収比率111%となった。そして、平成27年度決算においては、特別会計・企業会計を含む税収総額119億5千万円に対して、累積債務総額は136億3千万円と対税収比率は114%である。

一方、税収の伸びは、自主財源だけを見ると、固定資産税、村民税、その他自主財源共に漸増傾向を示し、1997(平成9)年に46億4千万円でピークを迎え、その後は下降線を辿り、2015(平成27)年の41億3千万円となっている。

また地方債を含めた税収合計は、データ収集以来(1980年昭和55年)20億円から25億円弱で推移していたものが、1986(昭和61)年に30億円弱と動きを示しはじめ、1999(平成11)年に68億円のピークを示して以来、それ以降は55億円から65億円のあたりを行ったり来たりしている。

そして、人口減少による税収の減少ということが言われているが、自主財源の人口一人当たりの税収額をみると、1990(平成2)年まで17万円/年・人であったものがバブル崩壊の年(1991年)に23万円台となり、1997年の25万円をピークとして、人口がほぼ18000人で推移した2008年まで、年々減少を続け、2009年のリーマン・ショックの翌年に15万5千円と極端に落ち込んだものの、その後人口は2017年に16000人を割ったものの、自主財源の一人当たり税収は24万円から25万円をキープしており、むしろ人口減少とは反対に増加傾向を示している。


これは、税収が全体として落ち込んでいるのは間違いないとしても、村民一人当たりの税負担率は逆に増加していることを表している。すなわち、人口減少に対して、これまでの投下資本が村民の税負担を圧迫していることを示している。さらに、地方債を含めた歳入額の村民負担割合は40万円に達しており、これは将来の村民の負担割合をジワジワと圧迫することを予想させる。リーマン・ショック後の2009年には、自主財源の歳入に占める割合はほぼ5割となっており、現在の日銀のQE政策による証券バブルがハードランディングすれば、またリーマン・ショック直後のような自主財源の落ち込みが現出し、村民の将来の負担割合はますます増加すると予想される。

また、基礎的財政収支(PB)の推移を下にグラフ化した。

先に一般会計の累積債務が「2000(平成12)年の11億円の谷を迎えるまで、一貫して下降傾向を示していた」と述べたが、確かに1992年から2002年まで、一般会計の債務残高はずっと下降線をたどっていた。その時期の基礎的財政収支を、上の図から見ると、プライマリーバランスは、1995年の一時期を除いて、すべて1億6千万円から6億7千万円のプラスとなっている。この原因は1991年から1997年にかけて、自主財源が一貫して増加傾向を示していることがわかる。すなわち、債務を減少させるのは、自主財源の増加しかないということを、この間の推移が示していることがわかる。


以上、美浦村の債務状況について、過去のデータを遡って見てきたが、将来を見据えた財務状況を見極めれば、これまでの人口増加によって投下された資本整備の余剰を削減して、自主財源の増加を図ることが累積債務問題の根本的解決に寄与できる道であり、これを具体化する施策の遂行が、ますます急務の課題であることがわかるのである。その時に、「人口減少」は財政悪化の口実にはできないということも村民一人当たりの税収からも読み取ることができるだろう。

                              文責:地域通貨研究会代表 樋口 明