『実践 自治体財政の経済分析』(連載1)

さてそれでは、今回は上記の衣笠先生のご著書の「第1章 地方公共団体の仕事」について勉強していきましょう。

学習のポイントは以下の通りです

1 地方公共団体とは何か

2 どのような仕事をしているのか

3 都道府県と市町村の違いは何か

について学びます。

1 国と地方公共団体との仕事の違い

国が本来、果たすべき役割として以下の3類型がある。

(1) 国際社会における国家としての存立にかかわる事務

(2) 全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動もしくは地方自治に関する基本的な準則に関する事務

(3) 全国的な規模でもしくは全国的な視点に立って行わなければならない施策および事業の実施

ということです。

一方地方財政、地方公共団体の仕事を目的別歳出額構成比からみると、地方公共団体の仕事は社会保障関係が伸び、それにつれて公債費も伸びており、国土保全および開発費は減少している。

歳出規模の目的別構成比からみると、国と地方の役割分担の違いからいえば、衛生費(ゴミ・し尿の収集と処理)、学校教育費(小中高の学校運営・建設費・教職員の給与)、警察・消防費・社会教育費・民生費が多いことから、地方財政がわたしたちの生活に密着した仕事をしていることが理解できる。

2 地方財政の果たす役割

国内総生産の支出側の総額(平成22年度2010年度)は479兆円で、そのうちの政府部門が117兆円で民間部門358兆円と純輸出4兆円を合わせた総額(479兆円)に対する構成比は24.4%であり、そのうちの社会保障基金39兆円を除いた56兆円を地方公共団体が占めている。つまり国内総生産(支出側)の11.7%が地方公共団体を占めており、中央政府の占める割合は4.6%にすぎない。したがって、生活に密着した仕事に対する地方の役割の大きさが国民支出の構成比からも見てとることができる。

3 地方公共団体はどれだけの仕事をしているのか

公的支出の構成割合は

社会保障基金:34.4%

中央政府:18.9%

地方政府:46.7%

となり、支出面からみると、地方政府(地方公共団体)は中央政府の2.5倍の仕事をしていることになる。

4 お金はどこから来るのか

地方財政の収入はどうなっているのだろうか。統計をみると、多い順から

1 地方税

2 地方交付税

3 国庫支出金

4 地方債

となっており、この順位は都道府県、市町村ともに変わらない。

地方税収入は地方公共団体が自主的に収納できる収入であり、この収入が全体の収入に占める割合がほぼ3割くらいであることから「三割自治」と呼ばれることもある。

5 お金はどこへ行くのか

都道府県と市町村に分けて目的別歳出決算額の構成比を統計的にみると

都道府県:教育費——民生費——公債費

となっており、一方

市町村:民生費——総務費——公債費

となっている。都道府県の教育費の割合が高いのは、市町村立の小中学校の教員の人件費を都道府県が負担していることによる。

6 都道府県と市町村の仕事の違い

都道府県の仕事は

(1) 広域にわたるもの

(2) 市町村に関する連絡調整に関するもの

(3) その規模または性質において、一般の市町村が処理することが適当ではないと認められる事務

ということです。一方市町村の仕事は

(1) 土木:市町村道、上下水道などの建設・管理など

(2) 教育:幼稚園、小中学校、公民館の建設・管理など

(3) 民生:保育所の建設・管理、その他の社会福祉関係の仕事など

(4) 衛生:病院、診療所などの設置・運営、ゴミ・し尿の処理など

(5) 産業:農林水産業および商工業の保護・育成など

(6) その他:消防、住民登録などの仕事など

ということで、市町村と都道府県とはお互いに補いあって仕事をしていることになります。

今回は以上です。

次回は、「第2章 予算書を読むための基礎知識」について勉強していこうと思っています。