貨幣は公共財ではないの?(連載6)

第6回目は、「お金はなぜ無から創られるのか」という話題です。

教科書は

NPO法人日本未来研究センター理事長山口薫さんの著作

『公共貨幣』第4章からです。

「連載4」で、マネタリーベースということについてお話ししました。

1 政府貨幣(コイン)

2 日本銀行券(紙幣)

3 日銀当座預金(デジタルの数字)

この3つを合わせて「マネタリーベース」と呼ぶというお話をしたと思います。

1と2については、目に見え、手で触れることができるいわゆる現金で、日本の法律で「法貨」とされて、誰もが受け取りを拒否することができないものです。

3になると、これは日銀の人にしかわからないさわれない、観念上の数字ですね。

今回はこれに、銀行預金を加えて考えてみたいと思います。そうです、預金通帳の中にしかない数字上のお金で、銀行の窓口やATMでキャッシュカードと暗証番号がわかれば、現金に替えられるものですね。預金通帳をお店に持っていっても何も買えませんが、銀行振込にするという方法であれば、買い物をすることも可能な通帳上の数字です。

マネタリーベースのうちの3番目、つまり日銀当座預金というのは、市中銀行が融資の裏付けとして顧客の預金を日銀に預け入れたもので、この日銀当座預金をベースとして銀行は融資を行います。そしてマネタリーベースに市中銀行の預金を加えたものをマネーストックと呼びます。

しかし、下の図に示した「要求払預金」は日本の法律で法貨として認められているわけではないので、正確にいえば「お金(通貨)」とは呼べないもののはずです。なぜならば、銀行が取り付け騒ぎを起こすことだって考えられるからです。ただ現状では、「通貨のごとく機能している」にすぎないのです。ここはしっかり押さえておきたいと思います。

2017年7月現在のマネーストックは合計723.7兆円ですが、その内訳は以下の通りです。

政府貨幣(コイン)=4.7兆円(0.65%)

日本銀行券(紙幣)=100兆円(13.8%)

(要求払い)預金=619兆円(85.5%)

                 (参考)日銀当座預金=363兆円

つまりこの世で現金として動いているお金は通貨の14.45%(=0.65%+13.8%)にすぎないということがわかります。日本の経済活動を支えているお金の86%くらいは、実はデジタルな数字上のお金であるということになります。

さて次は、このような世の中の経済を支えている86%の数字上のお金はどこから生まれてきたのでしょうか?預金者が銀行に預けたお金、つまり現金なのでしょうか?いいえ、驚くなかれ、銀行が無から創り出したお金(みたいなもの)なのです!

363兆円の日銀当座預金を担保に、その1.7倍もの619兆円の預金を無から創り出したのです。

そのカラクリは、こんなふうです。「銀行は企業等に貸し出しを行い、同時にその貸出額を企業等の当座預金口座にパソコンでデジタル数字を打ち込む作業を行い、無から預金を信用創造」しているのです。

日銀が政府にお金を貸して(国債を購入して)、利息を得ているように、民間銀行は無から預金を信用創造し、そこから利息収入を得ているのです。このようにして創られた預金は通貨では決してなく、銀行が通貨として機能するように見せかけた『信用(Credits)』なのです。

今回は以上です。

次回は、「信用創造のメカニズム」ということについて勉強していこうと思っています。