貨幣は公共財ではないの?(連載4)

第4回目は、「法貨とは何か?」という話題です。

今回も教科書は

NPO法人日本未来研究センター理事長山口薫さんの著作

『公共貨幣』です。

使用する資料は日本銀行のホームページからマネタリーベースの時系列統計データ表です。

それでは、日本のお金、貨幣、法貨とは何か。

どの法律で法貨を制定し、誰が発行しているのか?

現在国内で流通しているお金は

1 政府貨幣

2 日本銀行券

3 預金(銀行の預金口座にある信用のデジタル数字)

以上の3種類です。

その中で、1と2の政府貨幣および日銀券のみが手で触れることができる、いわゆる現金(cash)と呼ばれるお金である。

1番目の「政府貨幣」とは、いわゆるコインといわれる硬貨で、法律(「通貨の単位及び貨幣の発行等に関する法律」)で定められています。今のところ、一円玉から五百円玉が発行されていますが、法律的には1億円玉でも1兆円玉でも発行することが可能です。ただし、貨幣(硬貨)は法律によって、額面価格の20倍までしか取引に使えないことになっています(第7条)。1億円玉ならば、20億円以上の取引はできないということですね。ですから政府発行の貨幣(硬貨)は「制限付きの法貨」ということになります。

いっぽう2番目の「日本銀行券」にはそのような法貨としての制限がありません。日銀券は「法貨として無制限に通用する」と法律(「日本銀行法」第46条)で定められています。硬貨(政府貨幣)にくらべて「無制限法貨」といえますね。

まとめますと、日本のお金(法貨)とは何かと問えば、上述した2つの貨幣に関する法律により「法貨=政府貨幣(実際には硬貨、コイン)+日本銀行券」であるということになります。

こうして政府や日銀によって製造・発行され、流通に投入される通貨(法貨)は、その流通過程でやがて一部銀行預金として銀行に預けられ、それが日銀当座預金として、日本銀行に還流してくる。

こうした

政府貨幣(コイン)

日本銀行券

日銀当座預金

この3つを合わせて「マネタリーベース」と呼びます。日本銀行のホームページの資料、マネタリーベースの時系列統計データ表 を見ると、2017年7月現在のマネタリーベースの内訳は以下の通りです。

日銀券発行残高=100.4兆円(紙幣)

政   府   貨   幣=4.7兆円(コイン)

日銀当座預金残高=359.9兆円(デジタルの数字)

です。合計は465兆円となります。2016年の日本のGDPが537兆円ですから、実際に世の中に出回っているだろうお金(紙幣+コイン)105.1兆円でその5倍のGDPを生み出した、あるいは国内総支出を支えているといえないこともないが、ただしこの表現は不正確です。なぜならば、実際には日銀当座預金を元手にして民間銀行はその何倍もの信用を預金として作り出して、それを決済手段の「お金」として回しているからです。この点は後で触れます。

先ほどの資料マネタリーベースの時系列統計データ表の中の「マネタリーベース平均残高/うち日銀当座預金」という文字の脇についているボタンを押してグラフを見てみてください。第二次安倍政権誕生後、2013年3月に黒田東彦日銀総裁が誕生し、いわゆる「異次元の金融緩和」が実行されて日銀当座預金というデジタル数字の法貨がどれほど急激に増えているかがはっきりとわかると思います。

今回は以上です。

次回は、「日本銀行」とは何かについて勉強していこうと思っています。